「月の砂漠をさばさばと」はじわじわきます。

この本は150ページほどですし、挿し絵もかわいらしいし読みやすく、ほのぼのとした気持ちになるおすすめの一冊です。私もはじめは本屋さんで何か良い本はないかなあと、肩に力の入らない感じでうろうろとしていたら偶然に出会った本です。題名が歌の「月の砂漠」の替え歌のようでしたので、おもしろそうだと思い手に取りました。そして表紙の絵がとても気に入ったので買ったくらいです。

どのようなお話かといいますと、作家をなりわいにしているお母さんと、小学3年生のさきちゃんがアパートでふたり暮らしをしています。そのふたりの日々の生活風景だったり、親子関係などが描かれています。12本のエピソードでつづられていて、お家でのことや学校や友達との交流など、すべてが読んでいてじんわりとします。

この本は、はじめから終わりまでずっと平和な雰囲気のお話です。ただ、わけあってお父さんは一緒に暮らしていません。さきちゃんは、お母さんが作ってくれた面白いお話しを聞いても、(お話しの登場人物の)苗字が変わることに対してさえ敏感に反応するのです。親の離婚で少し傷ついているのかなと思いました。

そういう中でも、お母さんは力まずにさきちゃんにたっぷりと愛情を注いで育てています。

そんな無償の愛情を娘に注いている姿と、それに答えるかのように素直に育っているさきちゃんの姿に心を打たれて、じんわり涙がでるのだと思いました。きっと、簡単なようでとても難しいことを、この親子は肩の力を抜いてやっているんだと思います。